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気まぐれ短編小説その1「丘の上の三人」

こんにちは。世の中なかなかうまくいかない。hark-nelです。


ごくたまに、唐突に文章を書きたくなるときがあります。
乏しいボキャブラリと知識の自分を憎みつつ自己満足でつらつら書いているときのあの楽しさったらないですよ

最近ブログ更新がまた停滞してたのでちょうど良いネタだと思い投下する次第であります。









「丘の上の三人」





「あの海のずっとずっとむこうに小さな島があったとする。その島には人間はいない。自然だけが作った世界があるんだ。」

遠くを見つめる彼女の瞳が、月明かりに照らされ美しく輝いている。
毎晩その瞳に吸い込まれそうな私がいる。だがそれを彼女に打ち明けようならば今のこの関係はその時点で崩壊してしまうだろう。
そもそも打ち明けられないこのもどかしい気持ちが、私はたまらなく好きなのだ。ぎゅうっと締め付けられる心の感覚は一つの快感に近い。

「で、そんな島があったとしたらどうするわけ?」

私が彼女に抱く愛おしい感情とは真逆の冷めた返答をしてみる。同調するつもりはない。困った彼女が見てみたい。そんな彼女もまた愛おしいだろうと確信しているからだ。
遠くを眺めていた彼女の瞳が私に向けられた。耳にかけられていた長い髪がさらっと崩れ、彼女のぷっくりとした頬に掛かる。

「別に何をするってわけじゃないけどね。あったら良いなって思っただけ。」

しまった。もっと楽しい返答が出てくるかと期待していたがそう上手くいくものではない。会話が終わった。まずい事をした。
この時間が終わる。私の小さい愚かな好奇心が原因でこの素敵な空間が終わる。
続けなければ。この世界を。私の掛け替えのない時間を。まだ終わってほしくない。もっともっと彼女を見ていたい。
そうだ無人島だ。無人島の話をしてたんだ。

「あ、でもそんな島があったらあたしも行ってみたいかな。探検とか楽しそうだし―――」

「ちょっといいかな」

焦って出したみっともない私の言葉を遮って彼女は口を開く。俯いた彼女の瞳が前髪に隠れた。

「これだけはあなたに伝えておこうと思って。」

私に顔を向けた彼女の瞳に輝きはなかった。少なくとも私に良い知らせではないことが一瞬で伝わった。
潮の香りが鼻元を掠る。丘がさわさわと揺れ、彼女の髪がなびく。何処かで何処かの崩壊の音がする。
体がみるみる冷えていくのを感じるのに私の肌からはじわりじわりと汗が吹き出てきて、次に彼女の口元が動くことがない事を祈りながら引き攣った表情のまま止まった。
何も聞こえない世界で鼓動だけが聞こえた。

「わたし………を……しちゃった。」

震えた彼女の唇から発せられた言葉は無残にも潮風に揉み消された。
彼女の瞳から溢れ出る液体が、白いワンピースに透明なしみを作っていく。小さな肩が小刻みに揺れている。
泣いている。一体何故泣いている?兎に角私は彼女に近づいた。
その時、彼女のワンピースに別の色のしみが在る事に気が付いた。
私は彼女の髪をそっと掻き分け、彼女に初めて触れた。彼女は暖かく、冷え切った私の体を温めていく。まるで彼女の体温を共有していくかのように。
涙で一層輝いている彼女の瞳が私を見つめる。驚いたような表情を見せた後、その顔は崩れ安堵へと変わる。そして大粒の涙を流しながらわんわん泣き始めた。
波の音、草の音、彼女の音だけの世界に私は静かに身を投じる。
闇から幽かに見える海の白波の向こうにはきらきらと輝く星々が広がり、それは頭上を越え遠くに見えるビル群から点々と光る赤色に溶けて無くなった。
その際この丘のもう一つの存在に気が付いたが、私たちの世界には不要の物である事には違いない。
潮の香りと共に彼女の香りが私の鼻を伝い余韻を残しながら消えていく。私は彼女の耳元で囁いた。

「…あたし、君の事が好きだから。」

おわり
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